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自分をコントロールできない人〜パワーハラスメントの事例

自分自身のコントロールができない人

「自分自身のコントロールができない人」といっても、能力がないというよりは、感情・行動・欲求をうまく調整できない状態を指すことが多いです。

主な特徴を3つ挙げてみたいと思います。

① 感情のコントロールが苦手

  ★すぐ怒る

  ★気分によって態度が大きく変わる

  ★冷静になってから考えることが苦手 

  例えば、職場で注意されると、強く反論したり、不機嫌になったりします。

② 衝動的に行動する

  ★思いついたらすぐ行動する

  ★後先を考えない

  ★買い物の衝動買いが多い

  ★「言ってはいけないこと」を言ってしまう

   後で「しまった」と反省することが少なくありません。

③ 欲求を我慢できない

  ★食べ過ぎる

  ★飲み過ぎる

  ★ゲームやスマホをやめられない

  ★締切があるのに遊びを優先する

   目先の快楽を優先しやすい傾向があります。

 

事例研究1

徳川課長は主任のAさんのことを心配しています。優秀で事務仕事を任せたら、だれにも負けません。ただ、時々、仕事の遅いスタッフや同僚に対して、強く指導をする場合があります。最初は穏やかに注意をしているのですが、徐々にエスカレートして、強い言葉を繰り返し相手にぶつけます。周りの人たちはAさんのことを「感情の起伏が激しく、怖い」と思っているようで、敬遠されがちです。Aさんの言葉で、傷ついた人も多く、ハラスメントで訴える、というような声も聞こえています。

設問:さて、徳川課長は主任のAさんに対し、どのような指導と接し方をすれば良いと思いますか? 考えてみてください。

 

 

 

ヒント!

①Aさんは「能力の問題」ではなく、「感情のコントロールと指導方法の問題」を抱えています。徳川課長の指導は「叱ること」ではなく「Aさんの行動変容を促す、あるいはサポートすること」だと思います。

②Aさんの特徴は? 

 例えば「責任感が強い・担当する仕事の能力が高い」

            →『周囲にも(自分と)同じ レベルを求める』

 「相手が変わらないとイライラする」→「感情が高まると自覚なく強い言葉になる」

 こんな特徴を持つ人の強い言葉の裏側には

 「仕事のために行っている、相手を成長させたい」という気持ちがこもっているの

 かもしれません。

 

 

徳川課長が言ってはいけないことは?どんなことでしょうか?

  

  「そんな強い言い方をしたら、パワハラだぞ!」

  「みんながAさんのことを怖がっている!」

 

① 人前で注意する

「言い方がきついぞ」と人前で指摘すると、Aさんは防衛的になります。また、人前で言われると、「恥をかかされた」と感じる人も多く、逆に反感を持ちます。

② 性格の問題にする

「君は短気だ」「感情的すぎる」

という指摘は効果があまりありません。本人は徳川課長の前では神妙にしていても、心の中では徳川課長のことばに、納得していないからです。

効果的な対応

① 事実を具体的に伝える

例えば

「先週の会議で、Bさんに対して同じ指摘を5回繰り返していたね」

「その後、Bさんは発言しなくなっていた」

のように、

『事実を中心に』「周囲への影響」を分けて伝えるのも一つの方法です。

 

② 良い部分を先に認める

例えば

「Aさんの仕事の正確さは部署でもトップレベルだ」

「責任感の強さはみんなが認めている」

そのうえで「だからこそ、Aさんには指導力も身につけてほしい」と伝えます。

順番を間違えてると、完全に批判されていると思い、心を閉じてしまう人が少なくありません。まずは「承認」すること、相手の良いところをほめたり「認めたり」しましょう。

③ 本人に振り返らせる

「相手はどう感じたと思う?」「その場にいた人たちはどう見たと思う?」

と質問してみます。説教ではなく対話です。相手の気持ちを考えて、自分自身のその場の行動やコミュニケーションスタイルが良かったかどうか、振り返りをしてもらいます。

特に重要なポイント

Aさんの問題は、

部下を「怒ること」ではなく「怒りながら指導してしまうこと」です。

指導の目的は、相手の行動を改善してもらうことですが、徳川課長の怒りが前面に出ると、「相手を萎縮させたり」「周囲の人にもプレッシャーを与え、Aさんだけでなく、関係者全員を黙らせてしまいます」

結果、「本来の問題点が見えなくなってしまう」これは、まさに逆効果となります。

 

徳川課長の面談例

Aさん、あなたの仕事の質や責任感は部署の大きな力になっています。ただ、指導を受けた人だけでなく、周囲の人も少し緊張しているように見えます。

私はAさんに、行動を変えて、とか、部下に優しくと注意してほしいと言っているのではなく、将来この会社の中で、もっと大きな役割を担える人になってほしいと思っています。部下を動かすためには、正しさだけでなく伝え方にも工夫が必要だと思うんですよね。

よかったら一緒に考えてみませんか。

このような「評価+期待+対話」の形が効果的です。

ハラスメント防止研修や行為者行動変容プログラムの観点から見ると、Aさんは典型的な「高業績・高責任感型」のケースです。実はこのタイプは改善の可能性が高く、本人が周囲への影響を理解できるようになると、大きく変わることがあります。Aさんを「問題人物」と見るより「優秀な人材が管理職になる前の成長課題」と捉える方が建設的でしょう。

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