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<クイズ・事例と解説>涙、涙のハラスメント現場から

*コラムの最後にハラスメント防止研修のお知らせがあります!

(コラム)涙、涙のハラスメントの現場から  

 

 

語り継がれるルール

ある地方都市の大学附属の総合病院では、代々、語りづがれたルールがありました。新人の看護師が入ってくると、何かあった時のために連絡表を作るのですが、それは家族のみならず、恋人や男友だちまで、表に書き入れなければならないのです。また、それを古参の看護師に報告しなければなりません。

これは、当たり前のように慣習として引き継がれて来ました。誰もがそれを普通だと思っていたのです。

ところが昨年、とうとう1人の看護師がこのように事務局長に訴えて来ました。「私は自分のボーイフレンドのことを職場の上司や先輩に伝えたくありません」

「えっ!そんなルールがあったんだ!?」事務局長は、ひっくり返らんばかりに驚き、その後、頭を抱えました。

さて、ボーイフレンドや恋人のことを上司や先輩に報告させる、これはハラスメントでしょうか?

 

 

クイズの(参考)回答

ハラスメントです。

厚生労働省が示した「職場のパワーハラスメント6類型」のうちの「個(プライバシー)の侵害」に該当するハラスメントの恐れが大です。昭和の時代にはハラスメントという言葉がありませんでした。ですから、上司や先輩から「報告しなさい」と言われれば、上下関係からどうしても断れず、いやいや報告した人もいるでしょう。ただ、時代は大きく変わりました。「私個人に関わることは話したくありません」と明確に拒否する人も出てくるはずです。自身の職位の優位性から、部下のプライバシーを公開、あるいは報告するように命じるのはパワーハラスメントの「個の侵害」に該当します。

 

 

 

携帯電話の価値って?

20歳の社員Gさんは、休憩時間が過ぎても、5分、10分とゲームをしています。田中課長が注意すると「携帯で調べながら仕事をしているんですよ。ゲームじゃありません!」と強めに言い返してきました。田中課長は黙ってGさんの携帯を取り上げました。

さあ、田中課長がGさんの携帯を取り上げたことはハラスメントでしょうか、違うでしょうか。「携帯電話の価値」も踏まえて、ちょっと考えてみてくださいね。

 

 

20代の社員の特性を考える     

20代の社員とのコミュニケーションを円滑にし、仕事の生産性を上げていく上で大切なのは、20代の若い世代の特性を知っておくことだと思います。デジタル世代の若い人たちの生活の中心は「携帯電話」(端末)です。友だちとの交流、買い物(車でさえ携帯で買う!?)ゲーム、学校のレポート、動画やTwitter等での発信、携帯一つでできるのです。すでに生まれた時には携帯電話があり、成長とともに進化した携帯電話を使いこなしています。50代の人たちはどうでしょう?「携帯電話」はちょっと電話をかけたり、ショートメッセージを発信したり、時計がわり、あるいはカメラだったりと活用の範囲が限られています。50代にとって携帯電話の価値はなんでしょうか?

 

クイズの(参考)回答

ハラスメントではない。

労働者は労働契約上、労働時間中には職務に専念する義務を負っています。田中課長がGさんに「仕事中にゲームをしないように禁止する」ことは、適法です。

田中課長は、Gさんに、まず注意をしています。注意指導によっても携帯ゲームの利用が改善されない場合、使用者として禁止命令を発することもできます。

ただ、今回のケースでは、①きちんと理由を説明してから取り上げる、②「法律では取り上げてもいいんだ」と言ってしまったら、もう田中課長とGさんの関係修復は難しい、と思われます。

まずは、相手の話を田中課長が十分「聴き」話し合い(対話)による解決を目指す、理想型の解決方法ですが、これ以外方法はないと思います。

 

 

 

「これはハラスメントですか、違いますか」という質問

 

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ハラスメントホットラインを担当していると、相談者から「これはハラスメントですか、違いますか」という質問が結構たくさん出てきます。

ある20代の男性は上司に業務指導(上司の考える業務指導)を受けます。内容は、日々の仕事のやり方についての上司の不満(指導)機材の使い方に対する注意、人間関係における上司の指導等で、長時間に渡り、何度も同じことを繰り返して指導する、そうです。

お前、仕事やる気ないのか」と上司は口癖のように繰り返します。

相談者はもう精神的にもヘトヘトになっていて、夜も眠れないくらい、上司から強く言われた言葉を思い出すと涙が出そうになる、そうです。

「自分ではよくわかりません、これはハラスメントですか、そうではないんですか。教えてください」とこの男性は聞きます。

「どこで指導されましたか。時間はだいたいどれくらいですか」           

  

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「倉庫です、時間は1時間半から2時間です」「えっ!!」

ああ、こんなに暇な上司がいるのでしょうか!?  実際に、業務指導には問題を感じませんが、その内容に極端な要素、例えば「同じことを何度も執拗に繰り返す」「指導の時間が長い」「明らかに責めている」等があれば、ハラスメントと言えるでしょう。

「お前、仕事やる気ないのか」の「やる気」とはどんな意味でしょうか。人によって、「やる気」の尺度や定義が異なります。やる気は目に見えませんから、仕事の現場では非常に曖昧な表現になります。

この場合は「やる気」の代わりに具体的な項目を示すことで、ハラスメントではなく業務指導になります。例えば「最近、遅刻が多いけれど」「表計算は必ず見直してください」「お客様とのアポイントの変更が多いね」等です。具体的に示す、これがポイントです。

 

成功事例を真似しよう!(5月25日)

私が初めてハラスメント防止研修を担当したのは、2017年です。当時、ある大企業A社が、来たる2020年の東京オリンピックを見据え、「社内のハラスメントを0にし」「働きやすい職場環境を作るため」「ハラスメント防止研修への参加を」「社長命令で」「この企業で働くすべての人(正社員、契約社員、嘱託社員、パート・アルバイト)に義務付けました。

 

社員全員にハラスメント防止研修を義務付けたら、どうなると思いますか? そうです、もちろん「社内での激しい反発」が嵐のようにやってくるのです。

「忙しいのにそんな研修、やってられるか!」「eラーニングでいいんじゃないですか?」「各部で計画した方が日程が合わせやすいです(逃げ?)」「面倒臭い、どうせ管理職が色々言われて、面白くない」「裁判の事例や法律の勉強ばかりでしょう、やだなあ、、、」「職場でのハラスメントの具体例を教えてもらえない」

いいところ、ついている! みんなが思っていることかもしれませんね。

ここで「いえ、反対されても、やります!」というのは社長さんの決断!やはりトップの決断はとても重要だと思います。

まずは2,000名

A社は、まず2000名を対象に30名「1年1回2時間」の研修を、社員に課しました。

さて、A社はここでも工夫をします。1回の研修は30名ですが、そのメンバーを①階層別、②縦割りのどちらで選んだのでしょうか?

 

 

 

はい、答えは②です。部長がいれば、パートアルバイトのメンバーもいる、社員もいれば、嘱託もいる、というすごく面倒くさい手間のかかるグループ分けにしました。

でも、これがとても良い効果を生みます。あまり会ったことのない、全然違う仕事をする人たちが、参加型のワークで、意見を交換するのです。そこには忖度もありません。笑顔と真剣な意見のやり取りが、とても印象的でした。

 

効果は徐々に確実に

驚きの結果が出ます。なんと、効果は徐々にかと思っていたら、確実に結果が出てきました。およそ3年で、社内には「ハラスメントは何か」と聞かれて、答えられない人がいなくなった、そうです。これには人事課もコンプライアンスを担当するスタッフも目を見張りました。

「ハラスメントは職場の雰囲気が悪くなり、やる気がなくなる研修によって、部内のほとんどの人がハラスメントに対する理解を深めた」

「よかった、わかりやすい事例で、ハラスメント防止の研修なのに楽しく学べた」「色々な部署の人と一緒に意見交換できた。楽しかった」たくさんの感想が寄せられました!

 

A社から学ぶ!ハラスメント防止研修、何が大切!

ハラスメントとは何でしょうか?実は(小学校から続いている)「いじめであり、嫌がらせです」そして、そのイジメは、時として「死に至るまでの危険行為となります。ハラスメントは決して許してはいけません!」この単純なメッセージを皆さんにしっかりと持って帰っていただく、事例研究も判例も重要ですが、最も大切なのはこの4つの単語を忘れない、ということです。とても単純なことですが、これが社内のハラスメントを激減させる一つのポイントです。

 

株式会社キャリア・ストラテジー(企業様向)

ハラスメント防止研修ご案内 

ハラスメントとは色々な場面での「嫌がらせやいじめ」で「死に至るまでの危険行為」です。働く現場で「嫌がらせやいじめ」が横行すると、そこで働く人たちは意欲を失い、チームの生産性を落とし、メンタル不調や休職、退職に至る事があります。

 

ハラスメントの起きない環境作り、「風通しの良い職場環境のあり方」について、企業は積極的に取り組む必要性が求められています。

 

 

ハラスメント防止教育のイメージは?

 

通常のハラスメント防止研修では、事例を挙げ、過去の裁判の判例や法律等から、ハラスメントかどうかの判断を説明する講義が多々実施されています。しかし、1回目の防止研修では、判例からの解説よりも「ハラスメントは決して許されるものではない」ということを強く印象的に伝える事が必要です。マイナスのイメージの強いハラスメント防止研修を双方向参加型のアクティブラーニングを用いたワークで、自由に意見交換できる「受けて楽しいハラスメント研修」に変えていくと、ハラスメント防止は、受講者の心の中で、目に見える変化に向かって動き始めます。

 

 

 

キャリア・ストラテジーのハラスメント防止研修

株式会社キャリア・ストラテジーのハラスメント防止教育は民間の中小企業から始まり、2021年より陸上自衛隊陸上幕僚監部、陸上自衛隊東部方面総監部ほか、陸上自衛隊での継続した教育を中心に進んでいます。アクティブラーニングの手法を用いた双方向の参加型授業で、受講者から「楽しかった、わかりやすかった」との高い評価とご支持をいただいています。

セミナーの内容は?例えば、参加型のハラスメントクイズ!

さて、以下の質問は①ハラスメントでしょうか、②それともハラスメントではない、でしょうか。ちょっと考えてみてください。

クイズ1

女性スタッフのAさんの仕事上のミスについて、男性の田中課長が会議室で指導をしました。その間、部屋のドアは閉まっており、密室でした。

クイズ2

妻子ある男性の田中課長は部下の女性社員のPさんに「あなたのことを心から愛しています」と告白しました(純粋な恋愛感情からの告白)

クイズ3

女性ドライバーのBさんは田中課長に「私だけ物量が他の人より少ないのと思うのですが」と尋ねると、課長に「あなたは女性だから、少なめにしているんです、これは配慮なんですけどね」と言われました。

 

 

答えの例は下記です。

クイズ1 ハラスメントではありません。プライバシーを守るため業務指導、評価面談等はドアを閉めた会議室を使う事が多いようです。ただ……..

クイズ2 ケースにもよりますが、ハラスメントです。セクハラ被害者は上下関係、師弟関係等で明確な拒否の意思を示せない場合があります……..

クイズ3 男女を際立てて話すジェンダーハラスメント、ドライバーとして雇われたのに、女性のドライバーだから少なくしている、パワハラの中の「過小な評価」等に当たると考えられます。

 

 

株式会社キャリア・ストラテジーの「受けて楽しい忘れないハラスメント防止研修」の様子はTBSテレビ「報道特集〜自衛隊、ハラスメントと戦う」の中でも取り上げられました。

私たちは陸上自衛隊の北海道、九州を除く本州地域の駐屯地でのハラスメント防止研修航空自衛隊の50代向けのコミュニケーション&ハラスメント防止研修、その他、物流、教育、印刷、自動車等の企業のハラスメント防止研修、官公庁、行政等の「ハラスメント行為者更生(行動変容)プログラム」を担当しています。

 

 

 

吉本講師

 

講師:吉本惠子

株式会社キャリア・ストラテジー代表 キャリアコンサルタント・精神保健福祉士・産業カウンセラー 陸上幕僚監部人事教育部ハラスメント防止研修企画、陸上自衛隊北部方面隊、東北方面隊、東部方面隊、第1空挺団、通信学校、高射学校等ハラスメント防止研修担当、陸上自衛隊小平学校・衛生学校講師、航空自衛隊府中基地ハラスメント防止研修他、大学講師(非常勤)

 

松本講師

 

講師:松本利勝

株式会社キャリア・ストラテジー副代表 カウンセラー キャリアコンサルタント 元宮城学院中学高等学校校長、元立教女学院中学高等学校教頭、職業能力開発総合大学校学生相談室主任カウンセラー 「ハラスメント行為者更生プログラム」担当者